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授業は98対100で負ける試合のごとくあれ(前篇)~資生館小助言~

授業は98対100で負ける試合のごとくあれ(前篇)


 札幌市立資生館小学校の研究大会に参加しました。
 2本の授業参観と、授業分科会での助言です。
 時間の都合で伝えきれなかったこともあったので、以下にまとめました。
 まずは、前編です。
 質問、意見などありましたら是非コメントください。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 はじめは体つくり「長縄跳びの授業」についてです。この授業の優れている所は、子どもたちに「できそう!でも…あれれ?」が生まれたところです。できるように試みる、それが崩される。また試みるとできるようになる。また崩される。こうした繰り返しが巧みな動きを高めるためには大切です。こうして様々な動きに即座に対応する能力、運動結合変換能力が高まっていくのです。

 次は、「走り高跳びの授業」についてです。感動的な授業でしたね。ハイタッチあり、歓声あり、涙あり。これは授業ではありませんね、ドラマです。脚本があるんじゃないの?と思ってしまいました。

 そんないい授業を見せてくれたお二人ですが、授業を一緒に作っていくにあたって「授業は98対100で負ける試合のごとくあれ」と伝えてきました。
 授業で扱う運動課題には条件があります。繰り返すまでもありませんがそれは、①個人に適応していること、②負荷が適正であること、③バランスが良い(特化していない)こと、④スモールステップであることの4条件です。こうした課題を繰り返すことで子どもは力を高めていきます。
 繰り返しと言いましたが、本当は子どもには繰り返していると思われないこともポイントです。ベルンシュタインは運動学習の重要なポイントを「繰り返しなき繰り返し」と言っています。完全な反復ではなく、ちょっと変化がある繰り返しがいいのです。
 では、「授業は98対100で負ける試合のごとくあれ」に戻りますが、「98点」には時間内での繰り返しの回数の豊富さを求めています。3対5ではだめなのです。スモールステップではなくなります。また負ける授業であってほしいのです。課題が残る授業であってほしいのです。課題意識は子どもを突き動かすパワーです。うまくいけば生活の中で「やってみよう」「練習してみよう」という行動を引き起こすかもしれません。試合には負けました、でも98点も獲ったのです。もしこういう試合を終えた子どもはたくさんの成功体験や満足を味わっているのではないでしょうか。そういう意味も込めています。

 さて、こういう試合のごとき授業をするにあたっては、4条件があります。

1 子どもが100回試したくなる教材(運動)による授業
2 無駄なマネージメント時間がない授業
3 100回試そうとする子を育てる学級経営
4 ブラッシュアップされた話し合いがある授業

 本時の2本の授業は、条件の3番目までは十分にクリアされていたと思います。また、先生方の話し合いで課題は十分に解決されたように思います。ですから、今日はこの後、運動後の話し合い活動の在り方についてお伝えしていきます。

話し合いを向上させる~分かるために~
 
 さて、体育学習の話し合いですが、運動時間を十分に確保することを考えると短くありたいものです。45分の6割が27分ですから、それくらいの運動時間は子どもたちに必ず確保したいものです。また、子ども同士の作戦タイムや、振り返りの時間も必要ですから、全体やグループでの話し合い活動は7分から10分くらいが限界です。
 仮に7分としますと、どのくらいの人数の子が話せると思いますか?色々な授業を見てきましたが、主な発言となると、だいたい4人くらいが限界です。たった4回の発言で運動課題の本質やコツにたどり着かなくてはならないのですから、これはほぼ詰将棋といってもいいでしょう。1手でも無駄にはできません。子どもの考えを上手に導かなくてはなりません。

 話は変わりますが、ドライブをしていたりすると「お昼ご飯、食べようか?」なんてことになりますよね。想像してみてくれますか?家族でもいいし、恋人どうしても、友達同士でもいいですし。
 こんな時みなさんなら、なんて聞きますか?
 一番言ってはいけない言葉知っていますか?それは「何食べたい?」です。「どうする?」もよくありませんね。
 だって「何食べたい?」と言われたら、みんな食べたいものを思い浮かべますよね。でも、行くお店は1件だけです。必ず意見が通らない人が出るわけです。だから「何食べたい?」はNGな訳です。

 これは、話し合い活動でも同じ事が言えます。集団に対して、初発の発問は「狭く」なければなりません。そういう意味で長縄の授業の下岡先生は巧みでしたね。
 最初下岡先生は、「どう?難しい?」と聞きましたね。答えは二つしかありません。しかも初めて取り組む運動だったら答えはほぼ1つでしょう。次は「むかえ縄と違う?」と問いました。これも狭い質問です。そういうやり取りの中から、すかさずうまくできている子を引っ張り出し、皆の前で実演させています。そして「どう?タイミングはいつかな?」と発問します。ここでやっと広い発問に切り替えました。これがポイントです。狭い質問で論点を絞り込み、絞り込まれたことを確認したら広い質問に切り替えていく。実に質の高い話し合いでした。

 ちなみに自分の学級はシーンとしていて悩んでいる方いますか?そういう方はたぶん「なぜ?」を連発しているのだと思います。「なぜ」は根拠を問う発問です。授業は「なぜ」を学んでいるといっても過言ではありません。しかし、なぜは投げかけられると辛いんです。とくに連発されるとほぼ苦痛です。
 また、発言をした子にご褒美をあげていますか?何かしてもらったら「ありがとう」って言いなさいと言っていますよね。ちゃんと発言してくれた子にありがとうしてますか?「はい、次」とか「他は?」なんて言っていたらダメですよ。
 ご褒美は、「キミは、○○○ということを言っているんだね」と先生の言葉で整理整頓して投げ返しえあげることです。返報性の法則と言います。是非やってみてください。最高なのは、返報性の法則に「I」つまり私を加えることです。「キミは、○○○ということを言っているんだね。すごいなあ先生、感心しちゃった」といった具合です。子どもはとても喜ぶはずです。だって、先生の「I=愛」が詰まっているのですから。
【後編へと続きます】
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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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