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善き言葉が胸にありますか?

善き言葉が胸にありますか?



 「アパートの鍵貸します」など、数々の名画を残してきたビリー・ワイルダーのスピーチから引用したいと思います。
ワイルダーはナチスの迫害から逃れるため、ヨーロッパからアメリカに移住しました。ビザはメキシコの米国領事館で申請しました。もし、拒否されれば命を失う危険もあります。不安な思いでいると領事館の職員から仕事を尋ねられました。「脚本を書いている」と答えると、「いいのを書けよ」と入国を認められました。

「私はそれ以来ずっといい作品を書くよう努めてきた。あの名前も知らない男性のおかげで今の私がいる。」ワイルダーはアカデミー賞授賞式で 50年も昔の一言を感謝した。【読売新聞 編集手帳から】

 自分を支える言葉が心にある人は幸せです。食事が身体の糧であるように、心の糧は言葉なのですか
ら…。そのために、子どもを支える大人の言葉は善きものであってほしいと願っています。どこかに未来のワイルダーがいるかもしれないのだから。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 追いかけている人がいます。「こんな風になれたらいい」と願っている先生です。

 ある日のこと、小学校1年生の三女、こはるちゃんが学校から帰ってくるなり、嬉しそうにこう叫んだ。「お父さ~~ん、今日の宿題は抱っこよ!」何と、こはるちゃんの担任の先生、「今日はおうちの人から抱っこしてもらってきてね」という宿題を出したのだった。【みやざき中央新聞から】

 その夜こはるちゃんは、父さん、お母さん、おじいちゃん、ひいおばあちゃん、2人のお姉ちゃん、合計6人と「抱っこの宿題」をして、翌日、学校で「抱っこのチャンピオン」になったそうです。でも心配顔のお父さんは、こはるちゃんに尋ねてみます。

「学校のお友だちはみんな抱っこの宿題をしてきとったね?」
するとこんな悲しい答えが返ってきた。

「何人か、してきとらんやった。」

 でも、世の中、捨てたもんじゃない。次に出てきた言葉に救われた。

「だけん、その子たちは先生に抱っこしてもらってた」


 子どもたちが学校で、一番多く聞く大人の言葉は先生の言葉。それならこはるちゃんの先生のように、優しさにあふれる言葉で胸いっぱいに満たしておこう。いつでもあたたかな言葉で子どもを抱っこできるように。


 では、どうしたら?…お悩みの方にこのスポーツ選手のエピソードはヒントとなるかもしれません。その選手は伊藤選手。北京パラリンピック車いす男子四百メートル、八百メートルに出場し、2つの金メダルを獲得した選手です。金メダルを手にした瞬間を、「人生で 5番目にうれしい。」と語った人です。
「生きてきた人生の中で 5 番目にうれしい。子どもが 4 人いるので。」
 わが子が生まれた時、喜びで叫びたい衝動にかられたのは、皆も経験のあることでしょう。金メダルに勝る喜びを「ふと」思い起こす時、善き言葉が胸にあふれる事でしょう。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 とはいえ親修行半ばの身としては、年々生意気になるわが子を前に、正反対の言葉がこみ上げてくることもあるのが正直な所。そんな夜は、眠る娘の小さな手を見つめることにしています。小さな手が、闇を軽く握り締めているのを見ていると、不思議と冷静さを取り戻すのです。そして、明日、語りかける善き言葉を見つけることができるのです。

(附属札幌小学校 平成26年度学校便り 9号から再発信)
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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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