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子どもの思考力を高めたいなら1分間待つ〜思考のためのツール 内言を育てるためには〜

子どもがつぶやく意味を知っていますか?


 小さな子どもがぶつぶつと何かをつぶやいているのを聞いたことがあると思います。


内言_虫取りの子ども

 かたや僕たち大人は何かをつぶやきながら歩いたり、乗り物に乗ったりしません。そういうときは黙っているものです。だからといって何も考えていないわけではありません。あれやこれやと頭の中に言葉が浮かび、何かを考えているのですが、それを口に出したりしません。


 これは、大人の「内言」は発達している一方で、子どもはまだそれが未発達なので、声を出さずに考えることが難しいからなのです。内言が、しっかりと出来上がるのは小学校1・2年頃と言われていますが、個人差がありますから3年生くらいまでかかる場合もあるでしょう。


 内言とは、


音声を伴わない自分自身のための内的言語であり、主として思考の道具としての機能を果たす。「有斐閣心理学辞典より」


 僕たち大人は、内言があるから「思考」することができるのです。一方、小さな子どもは、内言が未発達だからぶつぶつとつぶやくことで「思考」しているというわけです。


 ですから子どもの「思考力」を高めたいのならば、その道具である「内言」を育てることが必要不可欠であるというわけです。


内言の高まりと共に消えていくつぶやき


 さて、子どもがぶつぶつつぶやいきながら考えるやり方から、黙って考えるやり方に変わっていく過程を説明していきます。


 例えば、あなたは家にいて、台所でお母さんがカレーライスを作っているとします。


 台所からは、カレーライスの香りが漂ってきます。


 大人は、ここで「ああ、今日はカレーライスか」と思うわけです。また、久しぶりのカレーだったら「何日ぶりかな?」と考えたり、体重を気にしている場合だったら、「食べ過ぎないようにしなくては」というようなことを考えたりします。


内言_赤ちゃんとカレー


 一方、幼い子の場合はというと、いい匂いや、台所からする包丁の音、ご飯を食べた時の幸せな印象などは感じています。また、お腹がすいてきたりします。しかしそれが「カ」と「レー」「ラ」「イ」「ス」という5つの音とは、まだ結びついていません。


 周りで「ああ、今日はカレーライスか」という声を聞いたり、「今日はカレーライスよ」と言われたりすることを何度も繰り返すことで、香りや音や印象などの一体が「カレーライス」という言語だとして対応させていくのです。


 また、お母さんに「今日はカレーだねお母さん」などと自分で音声に表すことでその対応を確認していますが、段々とその頻度が減っていきます。自分でもそれがはっきりと確信できるようになってくるので、それが煩わしくなってくるからです。

 また、大勢の人がいる電車の中や幼稚園、家族以外の他者といる時間が増えていきます。すると人に自分の考えが知られることを避けるようになるので、大きな声で「カレーライス」と言うのではなく、小声で言うようになり、ついには音声にせずに頭の中だけで言うだけになり、やっと内言となるというわけです。


小学校低学年の子どもに黙読は難しい


 
 人が本を読む、様子の移り変わりを見ても内言の高まりを見ることができます。大人は文章を目でなぞるだけで文章の意味を理解し、それが生み出すイメージを想像することができます。実際、僕たちは文章を読む時、いちいち「カレーライス」というように言葉を頭の中でも読まなくても、そのイメージを思い浮かべることができます。


内言_国語教科書

 一方、小学校1年生 国語の教科書を見るとこのように言葉ごとにスペースで区切られています。


内言_算数教科書

 これは、算数の教科書も同様です。


  また、内容に沿った挿絵や写真が豊富にあるのも特徴の一つです。

 こういう工夫で文字をばらばらに捉えるのではなく、一区切りの意味あるかたまりとして認識しつつ、先程のカレーライスの例のように、本人なりの感覚とイメージが言語と対応していくのです。小学校低学年の時代とは、まだこういう段階なのです。


内言_お母さんがカレーを温めています。

 だから、小学校に入りたての子どもが、文章を見ただけでは、文章の内容を理解するのは難しいでしょう。先生が読んだのを聞き、自分で大きな声に出して読んでみて、さらに挿絵と照らし合わせて、やっと「ああ」と納得できる理解となるのです。


 そして、その繰り返しを経て、小声で「ぶつぶつ」と読むくらいで内容を理解できるようになります。さらに長い時間をかけて、目でなぞるだけで文章の理解ができるようになるのです。


 ですから小学校低学年の子どもたちにとって、「黙読」はとっても難しいのです。一度音声にださないと一つ一つの言葉が、ボヤッとした理解になるのですから。

 大人に例えるなら、薄暗い部屋の中で細かい字の本を読んでいるようなものです。細かい漢字が出てくる度に読めなくてその言葉を飛ばして読まなくてはなりません。ですから、低学年の時はたくさん音読をしてほしいと思います。


内言を高めたいなら、1分間待つ


 できれば大人が一度読んであげるのがいいのです。絵本を読み聞かせるのはとてよいと思います。


内言_読み聞かせ

 さらに、各ページ1分くらいかけて、読むといっそう効果が上がります。文章を読むだけではなく、絵を指差したり、絵を見て感想を聞いたり、おしゃべりをしながら読むのです。それが内言の高まりに大きく貢献していきます。


教室で子どもたちにリンゴを見せたら、


 学校は、内言を育てる重要な場です。

 教室で先生が何かを子どもに見せたとします。例えば「リンゴ」を子どもに見せたとしましょう。


 「あっリンゴだ」「赤いね」「昨日食べたよ」…というようにそれぞれが言いたいことをつぶやきます。教室が大さわぎになることもあるでしょう。それはただ好き勝手につぶやいているように感じることもあるでしょう。


 しかし、子どもはつぶやくことで、自分が発する言葉と実物のリンゴの対応を深めていきます。また、多くの友達が発する言葉がイメージと一体となったパッケージとして子どもたちの頭の中に浸透していきます。一見大さわぎに見える何気ない一場面も、内言の獲得に大切な体験となっているのです。


 ですから、「静かにしなさい!」と言うのは1分待ってください。

  実物を見て、言葉を発し、仲間の言葉を聞き子どもたちは内言を育てています。そう思えば、その1分は貴重な1分と感じませんか。



  たかが1分、されど1分です。こうした積み重ねが、子どもが考えたり、夢を描いたりと思考していくために大切な「内言」となっていくのです。是非、今日からお子さんに1分を贈りましょう。


 子どもの思考活動に、Funタイムを!


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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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