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組立体操・組体操 講習会レポート その1~サボテンを安全に指導するためのコツ~

サボテン

 全国の学校で行われている組立体操による事故・怪我が相次ぎ、組立体操の実施そのものに厳しい目が向けられています。


 自治体や教育委員会によっては、段数の規制を行ったり、全面規制をしたりしています。
体育に関係するみなさんは、きっとこの問題に注目していることでしょう。僕もその中の1人です。



そこで…


 日本体育大学で行われました「組立体操・組体操 講習会」(2017年1月29日)に参加し、学んできました。


 講習会では、組立体操が抱える危険性について名古大学の内田准教授が提言をしてくれました。
内田良准教授

 また、組立体操・組体操の専門家の日本体育大学の荒木教授の演習を受けました。


荒木達雄教授

 実技指導をされる方に知っておいてほしい知識と、生徒が安全で楽しみながら取り組める具体的な内容について 実践を交えながらわかりやすく紹介していただきました。


 充実の講習内容の全てをお伝えするわけにはいかないのですが…その一端を紹介していきたいと思います。


 
 今回は、荒木先生から学んだ組立体操の定番「サボテン」指導のコツをお伝えします。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


サボテンを安全に指導するための3つのコツ


 サボテン指導のコツは、ざっくりいうと…


☑ 肩車からサボテンという指導はしないこと。


☑ 両足着地を反復練習することで、もし転倒した時のリスクを回避できる。


☑ 椅子を使って指導する段階を経ると、安全に練習できること。


 


サボテンの怪我が一番多い


サボテン2

 組立体操の技の定番といえば、「ピラミッド」「タワー」ですが、それに劣らず有名なのがサボテンです。


 しかしながら、ケガをしやすい技であることはそれほど認識されていません。荒木先生によりますと、ケガが一番多い技がサボテンなのだそうです。サボテンを完成させるのによく行われるのは、肩車をしてそこから膝の上に下すやり方です。この時、持ち上げた拍子にバランスを崩し転倒し、後頭部を打つケガが発生するそうです。また、上に乗る子は、足を土台の子に固定されますので、落下した場合に手首のケガが起きる場合が多いそうです。


 ですから、肩車→サボテンという方法ではなく、かつ安全に完成まで導く方法をお伝えします。


 


サボテンを安全に指導するための練習方法


 


練習1 ジャンプして静かに着地


サボテン練習1_ジャンプして着地

 膝の上に乗る子が1人で練習します。高くジャンプして、静かに着地する練習です。膝を柔らかく使って「ふわっ」と優しく降りるように声をかけましょう。


 この練習のねらいは、サボテンの土台に上ることです。ですから、土台の子の足幅に合わせて足を広げて着地するようにしてください。


 


練習2 2人組でジャンプして静かに着地


サボテン練習2_2人組でジャンプして着地

 練習1を2人組で息を合わせて行います。土台の子は、後ろから乗る子の腰を支えます。そして乗る子は、土台の子の手首を上から握ります。


 そして、2人で息を合わせてジャンプします。着地は1と同様です。2人で相談し合いながら、土台の膝の高さにジャンプして静かに降りられるようにしましょう。


 


練習3 土台に乗って、すぐ床に降りる


サボテン練習3_ジャンプして乗って着地

 次は土台の膝の上に乗ってみます。乗る位置は、太ももの膝に近い部分です。ただし、静止する必要はありません。まずは、乗ってすぐ降りる事を繰り返してください。


 難しいのは、土台の子の太ももの角度です。垂直に近いと滑り落ちてしまいます。土台の子は、最初から、床に近い角度になっていると乗りやすいと思います。


 


練習4 土台に乗って、ポーズを決める


サボテン練習4_ジャンプして乗ってポーズ

 練習3を繰り返していると、土台に乗っている時間がだんだんと伸びてきます。安定して土台の上に立っていることができることを互いに確認し合ったら、土台の子は、腰の手を乗る子の足に移してみましょう。支える位置は、膝の少し上の太ももです。


 乗る子は、胸を張り、前に前傾します。


 土台の子は、それに対応するように、後傾しバランスを取ります。


 乗る子が手を水平に伸ばして「ポーズ!」完成です。


 


 これで安心してはいけません。練習は、安全に着地できるまでです。


 乗る子が「降りるよ」と合図を出します。それに応じ、土台の子は手を放します。このタイミングがずれると転倒することがあります。乗る子は足を押さえられているからです。確実に足を放せるように、合図を前もって決めてから、練習4を行うようにしてください。


 


放す合図を決めておくことが安全性を高めるポイント


 前述のように、サボテンの怪我は、乗っている子が足を押さえられている状態で転倒することです。足が自由になっていれば、足で着地することができるからです。足で着地してから転倒するのと、足以外の部分が地面に激突するのでは、怪我の程度がずいぶん変わってきます。


 ですから、技が完成して降りるとき、乗る子が危険を感じて降りるとき、土台の子が痛み等を感じて下したい時の「合図を決めておく」ことが重要です。


サボテン練習5_危ない時の合図

 「降ります」「危ない」「放して」等、十分にコミュニケーションを図りながら練習を進めましょう。


 そして、そういう状況になったら土台の子が必ず手を「パッ」と離す練習を何度も繰り返してください。反復練習が大切です。「乗ってから安全に降りる」までを一つのパッケージとして練習をするようにしてください。


 


土台の子が力不足の場合は椅子を使う


サボテン練習_椅子で練習

 また、土台の子の力が不足していて、乗る子を支えられないことが予想される場合は、背もたれ付きの椅子を活用するとよいそうです。これで、後ろにひっくり返るリスクがほとんどなくなります。


 講習では、女性2人が挑戦していました。3回くらいの練習で、膝の上に乗れるようになりました。その後数回の練習で、ポーズを決められるようになりました。子どもの場合でも、コツをつかむために効果的な練習だと思います。


 僕としては、運動会等の演技を披露する時でも椅子を使って構わないと思っています。その子の体力に応じて技の難易度を選び、全力を尽くすことが大切なのではないでしょうか。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 講習中に出てきた荒木教授の言葉に…


組体操は安全教育を学ぶ場です。
声をかけあって、バランスをとりあって、お互いの安全を保つことを学ぶ場です。


があり、納得しました。


 
 今回はサボテンを安全に指導するための方法を紹介しましたが、互いに相談し共通理解を図る場面がたくさんあったことに気づいたでしょうか。


 「豪快な技」「高い難易度」はもちろん子どもたちを鼓舞し、引き付ける課題になると思います。しかし、「安全」というキーワードも、子どもたちが追求していく課題としての魅力を内包しているような気がします。


 そして何よりも「安全」というキーワードは、最後まで子どもたちの笑顔と安心を守るための最大の武器です。


 


 こう考えると、組体操・組立体操を「運動会のための演技」とするのはもの凄くもったいないことです。


 普段の体育の学習から、その要素を少しずつ学び、試行錯誤しながら十分時間をかけて取り組めば「互いのコミュニケーション」「身体のバランス」「互いを思いやる心」が育つ場となるということです。

 

 目線を「安全」に向けることで、組体操・組立体操は、子どもの体力だけではなく、生きる力に直結する力を養う重要な教育場面になるのです。


 


 組立体操・組体操 講習会レポート、次回は「技の練習をする前に」「タワーを安全に指導するためのコツ」をお伝えします。お楽しみに!


 
 あなたのお子さんの「安全な組体操と組立体操」にFunタイムを!


 


          

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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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