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学校便り・学級便り「キミは僕の心にいるよ」



 4月は新しい学校生活が始まる時期です。


 子どもによっては、新しい学級に所属することになります。子どもに限らず、新しい人間関係を築いていくのは大きなエネルギーを伴うものです。だから、前年のメンバーを解体し新しい学級を受け持ったときは、いつもこの学級便りを出しています。テーマは「名前を呼ぼう」です。


 新しい人間関係を築いていくうえで、最初の手立ては「名前を呼ぶ」ことだと思っています。名前を覚えるということではありません。「呼ぶ」ということが大事です。


 では、本文をどうぞ。




 


学級通信 キミは僕の心にいるよ


 

 

 本州ではもう桜が咲いているそうですが、札幌はまだまだ雪の中です。


 でも道の端をよく見てみたら、タンポポのロゼットがうずくまっていました。


 ちいさく体を縮めるその姿は、春の光を体にため込んで、一気に花を咲かせるのを待っているようにも見えます。


 このクラスは、4月から新しいメンバーと新しい担任でスタートします。


 2年間、なじみだった友達や先生と離れ、不安と期待の春です。


 子どもの言葉の中にも恥じらいと戸惑いが見え隠れしていて先生はちょっと苦笑いです。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 

「ねえちょっと!消しゴムとって」

名前を呼ぼう (1)

 隣の新しい仲間がウサ君に言います。


 「えっ、ボク?」ウサ君は、ドキッとしました。そして、この胸の痛みはどこから来るのだろうとも思いました。


 ◆ ◇ ◆


 「おーいウサ君、休み時間はケイドロやるべや…なっ」


 大きなゴリ君の声が、ウサ君に届きます。

名前を呼ぼう (2)

 「ねえ」と「ウサ君」、この間に不安と安心の境目があるのかなって思いました。


 でも、その胸の痛みの訳はよく分かりませんでした。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 川崎洋さんの「たんぽぽ」という詩があります。




 たんぽぽが たくさん飛んでいく

 ひとつひとつ みんな名前があるんだ

 おーい たぽんぽ

 おーい ぽぽんた

 おーい ぽんたぽ

 おーい ぽたぽん

 川に落ちるな 【たんぽぽ 川崎洋】




 「たぽんぽ」「ぽぽんた」「ぽんたぽ」「ぽたぽん」…どれもがかけがえのない1つ1つの命。「綿毛なんて呼んじゃいけないよ」と川崎さんは言いたいのでしょう。


 どの子にも1人1人、大切な名前が必ずあります。


 もちろん隣のあの子にも、大切な名前があります。


 その名前を呼ぶことから始めましょう。それが仲間づくりの第1歩だと思います。


 
名前を呼ぶことができるということは、その子の名前を「覚えている」ということだけではなく、
この顔で、この背丈で、この声の子は、その子の名前ってことが分かったよっていうサインでもあります。


 また、その子は他とは違う一人の人間であることが分かり、そしてその人間がここにいるということを認めた表れでもあります。


 だから、名前を覚え、そして呼ぶことができるということは、その子に「キミは僕の心にいるよ」ということを伝えることにもなるのです。


 
ウサ君のドキッは、隣の子の心に自分がまだいないことに気づいた痛みなのでしょう。




 新学期、新学期、新学期になってきょうで三日目、

 ぼくはうれしくてしょうがないんです。


 
  となりの席があいていて なんだか居ごこちがわるいけど、

 机が古くていたんでて それもいやだと思ったけど、もうなんとも思いません。

 新しい教科書ぱらぱらぱら なんだかむずかしそうだけど それも今ではへいちゃらです。


 
  まどからさしこんでくる 春のお日さま、光れ、光れ、

 ぼくはうれしくれしくてしょうがないんです。



なぜって

 新しい先生が、もうぼくの姓と名を呼んだんです。

 ちゃんとおぼえてくれていたんです。

 らんら、ら。【新学期 小林純一】


 
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 
 道の端のタンポポも、あとひと月もすれば、黄色い花を咲かせることでしょう。


 その頃には、「ねえ」「あんた」「おまえ」「きみ」「あの子」とさようならできているといいですね。


 もちろん、先生も含めてです。


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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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