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働き盛り世代の体力低下!~【時代】【遊び】【体育】この3つのキーワードから見えてくること~

働き盛り体力低下
働き盛り世代の体力低下が深刻になっているそうです。
これは、スポーツ庁が2017/10/9の体育の日に合わせて公表しました。

これによりますと…
35歳~39歳の働き盛りの体力低下傾向が深刻な状況にあるそうです。
働き盛り体力低下_グラフ
2016年度体力・運動能力調査のグラフを見ますと、この年代の体力が低下しているのがよく分かります。

なぜこの年代の体力が低下傾向にあるのでしょうか?
【時代】【遊び】【体育】この3つのキーワードから考えてみます。



ざっくりいうと、35歳~39歳のみなさんは…
【時代】バブル経済まっただ中から平成不況へと突入していった時代に児童・生徒だった!
【遊び】ファミコンから始まった次世代ゲーム機戦争の渦中に身を置いていた!
【体育】学校体育のターニングポイントである昭和52年改訂指導要領で体育を学んでいた!



今回の主役のである35歳~39歳のみなさんですが、2016年の体力が低下傾向にあるわけですから…30年前の1886年ころ幼稚園から小学校低学年(5歳~9歳)でした。

運動やスポーツの世界では、この幼稚園から小学校低学年にかけての時期を別名「プレ・ゴールデンエイジ」と呼びます。

ちなみに「ゴールデンエイジ」は、小学校高学年から中学校の時期のことを指します。何が黄金かといいますと、体力や運動能力に関して黄金の時代なのです。この時代を「適切に迎える」ことができた子どもは、見た運動や動きを「すぐ」「その場」でどんどんと覚えていきます。この時期は、やればやるだけ、見れば見るだけどんどん動きが増えていく時期です。

でも、気を付けなくてはならないのは「適切に迎える」という部分です…

ゴールデンエイジは誰にでもやってくるわけではありません。
ゴールデンエイジになってから運動をたくさんしても輝かしい時を過ごすことができないということです。

その前の時代「プレ・ゴールデンエイジ」である幼稚園から小学校低学年にかけての過ごし方が重要なのです。この時期に豊かな遊びや運動経験を経て、巧みに体を動かす運動能力や十分な体力を身に付けた子どもたちだけが黄金の時期を迎えることができるのです。

さて、話をもどします。
今回の主役のである35歳~39歳のみなさんですが、2016年の体力が低下傾向にあるわけですから…30年前の1886年ころに「プレ・ゴールデンエイジ」(5歳~9歳:幼稚園から小学校低学年)でした。

では、その1886年ころについて覗いていきましょう。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


【時代】バブル経済まっただ中から平成不況へと突入していった時代に児童・生徒だった!


 バブル景気の最盛期は1985年と言われています。この時代は、その景気が1990年に崩壊し、平成不況へと突入し格差が広がっていく時期となります。そんな時代にちょうど幼稚園と小学校時代を過ごしたのが、この年代のみなさんです。

 文部科学省の調査によりますと、親の学歴や所得が高い方が、子どもの学力が高いことが示されています。また、東京大学に在学する学生の親の平均年収は約1000万円という話も聞きます。
 では、体力と経済力の関係はどうなっているのでしょう?

 データによりますと、教育扶助受けなくてはならないほど所得がひっ迫している家庭に育つ子どもは、体力が低いことが明らかになっているそうです(「日本の子どもの貧困と体力・運動能力の関係」北海道大学 石原ら)。
 また、23区格差の著者である池田 利道さんは、次のようなグラフを示しています。https://goo.gl/mxVvVo
体力と所得の関係

 これを見ると、明らかに体力と平均所得が関連しているように見えます。やはり、体力に関してもしっかりとお金をかけることは、子どもの未来に対する投資になるのでしょうか。

現在35歳~39歳のみなさんは、バブル経済まっただ中から平成不況へと突入していった時代に児童・生徒でした。この時代の状況が、この年代の体力低下につながっているのかもしれません。



【遊び】ファミコンから始まったゲーム機戦争の渦中に身を置いていた!


働き盛り体力低下_ゲームで遊ぶ
 ファミコン、つまりファミリーコンピューターが発売されたのが1983年のことです。まさに、この年代の方々は、ファミリーコンピューターと共に生まれ育った世代と言えます。
 さらに1985年にスーパーマリオブラザーズの大ヒット、1989年にゲームボーイの発売。1990年にスパーファミコンの発売、そして時代はプレーステーション等の次世代ゲーム機戦争へと歩みを進めていきます。

 35歳~39歳のみなさんの「プレ・ゴールデンエイジ」は、まさに子どもの遊びの中にTVゲーム・携帯型ゲームの発展期と重なり合っていると言えるのです。
 現代っ子は、「サンマ」が足りないと言われています。「サンマ=3つの間」は、遊ぶ空間、時間、仲間です。この不足の結果、体を動かす経験が不足している子や、コミュニケーションが不足している子が増えています。



 3つの間が足りない子どもたちの中には、遊びの時間を魅力的なTVゲーム・携帯型ゲームに奪われていった子も少ないでしょう。35歳~39歳のみなさんは、ファミコンから始まったゲーム機戦争の渦中に身を置いていました。この時代の渦が、この年代の体力低下を招いているのかもしれません。



【体育】学校体育のターニングポイントである昭和52年改訂指導要領で体育を学んでいた!


働き盛り体力低下_体育
国士舘大学の池田延行教授は、「体育は時代とともにある」という。10年サイクルで改訂がなされる学習指導要領と共に変わっていくということです。

学習指導料の体育科のねらいを並べてみます。



○ 昭和33~35 年改訂:「運動自体の構造を重視する体育」
○昭和43~45年改訂:「運動の本質的な特性を重視する体育」
○昭和52~53年改訂「生涯体育(スポーツ)を志向する体育」
○平成元年改訂「個に応じた指導を重視する体育」
○平成10~11 年改訂「心と体を一体とした指導を重視する体育(生きる力をはぐくむ体育)」


途中で主語が変わったのが分かったでしょうか?
昭和43年改訂までは、「運動」が主語となっていたのが、昭和52年改訂からは、「子どもが」となったのです。ものすごくざっくりいうと、「どんな運動や技を身に付けるか」を大切にし教える体育から、「子どもがどんな気持ちで」運動や技を行うかを大切にし教える体育にシフトチェンジしていったということです。

この5回の学習指導要領改訂をめぐっては、昭和52 年改訂が大きなターニングポイントになっていると言われている。
その昭和52 年改訂の後半、つまり一番その考え方がしっかりと教育現場に浸透している時代に体育学習を受けてきたのが、35歳~39歳のみなさんなのです。

昭和52 年改訂では、生涯スポーツの時代の到来を受け、運動に親しむことを重視したいわゆる「楽しい体育」が登場しました。この「楽しい体育」は、一人ひとりの子どもがいかに運動の楽しさや喜びを味わうことが重要視とされ、多くの体育関係者の関心を集めることとなりました。

全員が「逆上がり」を目指す体育から、自分なりにできる範囲で楽しむ体育に変わっていきました。
全員が「タイムを縮める」ことを目標とする体育から、自分なりの縮め方に焦点を当てる体育に変わっていきました。
言い方を変えると、個人の体育の求め方や、追求の仕方を非常に重視し、「個性化」が強くなっていったと言えるでしょう。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

35歳~39歳の働き盛りの体力低下傾向が深刻な状況にあるそうですが、この方々は体力向上のための「プレ・ゴールデンエイジ」を時代の大きな転換期に過ごしました。【時代】は大きく不況へと動き始め、【遊び】の中にTV・携帯ゲームが深く浸透してきました。そして、【体育】のターニングポイントである指導要領で体を動かしてきました。

これらの考察は、一つの考え方にすぎません。しかし、現在の状況に目を向けるだけではなく、この世代に人々がどのような運動・スポーツライフを歩んできたかに目を向けることは、今後の改善にとって一つの光になるのではないでしょうか?

あなたの運動・スポーツライフにFunタイムを!
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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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