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春…ことばの中にもあたたかさを

春…ことばの中にもあたたかさを


 最近、子どもたちの言葉の中に、聞くと不快感を覚える言葉が増えてきているような気がする。
 それは例えば、「うざい」「きもい」「やばい」「死ね」などの言葉である。テレビの中では、爆笑と共にこれらの言葉が乱発されているものだから、子どもたちはこれを当然のことだと感じているのだろうか。そうだとしたら、大人の罪は重いだろう。
 「あったかいんだから」と言われても、心穏やかではいられない。

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 一介の教師が言うのものなんだけれども、日本語というのは実に美しい言語であると感じている。
 俳句の学習で6年生と共に学んだのは、嵐雪の冬の句。

梅一輪 一輪ほどの 暖かさ 

 梅一輪ほどの小さな暖かさを冬のうちに見つけた春を待つ心を実に情景豊かに表現している。この句をほんの少し変えてみよう。〈 梅一輪 一輪ごとの 暖かさ 〉こうなると、梅が一輪、一輪咲いていくようにどんどんと暖かくなっていく早春の情景になる。たったの2文字が冬と春を分けているのだ。  
 日本語は実に美しい言語であると同時に非常に繊細な言語なのだ。

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 「むかつく」これも、よく聞く言葉である。これもなぜかよい印象を受けない。このような感情を抱いたとき、四十代は「頭にくる」それ以上の方は「腹が立つ」と言う傾向にあるそうだ。
 「むかつく」との違いはなんだろうか。それは、体の部位がないことだ。怒りを何とか「腹に」おさめつつも憤る気持ちが「腹が立つ」。では、「むかつく」はどうか。体の名称が入っていないところを見ると、それは、どこにも収められず、反射的に相手にぶつけられるのであろう。そういえば、「うざい」「きもい」にも体の部位はない。

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 一方、若者のコメントにはっとさせられたこともある。それは、甲子園にて。神奈川の横浜隼人高校(神奈川)に完投勝利した花巻東高校の菊池投手の勝利インタビューである。

「これまでも練習試合で対戦し、ずっと横浜隼人高校のようなチームになりたかった。今日勝てて、少し近づけたかなと思う」。

 文句なしの完投勝利、少しくらいの大口は許されるであろう。しかしながら、その場ですら相手を敬い、礼を尽くす言葉に、野球の技能以上に心を磨いてきたことを想像するのは難くない。
ところで、菊池投手は、現在も西武ライオンズで菊池雄星投手として活躍している。

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 学習では、「言葉を大切にしよう」と子どもたちに呼びかけている。「おい!ちゃんとやれよ」よりも「おしいおしい、次はできるよ」。ちょっとした言葉の違いではあるが、その小さな言葉の中にほんの少しの相手を思う気持ちがあれば、それを受け取る側の心に小さな花が咲く。

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 春とはいえ、北国はまだまだ朝晩寒い日が続く。せめて、子どもの言葉の中に、あたたかさをと願わずにはいられない。

(附属札幌小学校 6年1組学級通信 40号から再発信)
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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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