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役立つモノサシをもちたいものです

役立つモノサシをもちたいものです


 校地内の森はすっかり秋色です。シラカバやイチョウの黄色。ナナカマドの実はオレンジ。身近に秋の深まりを感じることができるこの森は、本校の大きな魅力の一つ。
 足元に小さな「手のひら」を見つけ、ふと足を止めました。よく見てみるとこのモミジの葉、マジックペンの赤色とは違うことに気付かされます。その赤よりもっと濃い赤に見えます。

 調べてみると日本には「茜色」「紅海老茶」など、赤だけでも実に様々な色があることを知りました。
 そうなると、さっき手にした一枚は、「深緋(こきひ)」でしょうか。

 「赤」にも様々あると知った後、再びモミジの木を眺めてみると、一つとして同じ色はないけれど、それぞれが美しい赤であることに気づかされます。

金色(こんじき)の小さき鳥の形して
銀杏(いちょう)散るなり夕日の丘に
 

 与謝野晶子の句です。イチョウの葉が夕日にきらめき落ちてゆく様を「小さな鳥」に見立てた表現が美しいですね。
 与謝野晶子は、古人に習い様々な色の名前を考案したといいます。
木の間色
 深い緑を< 木(こ)の間(ま)緑 >、
 ほんのりと桜色を帯びた灰色を< 浜(はま)撫子(なでしこ) > 、
月の出色

 夕暮れ時の月明かりに相を得たらしい< 月の出色 >というように実に優美な色を命名したそうです。
イチョウを「小さな鳥」に見る細やかな心ならではの名前に感心してしまいます。いや、繊細な心だからこそ色それぞれの存在が見えたのでしょう。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 ところで、哲学者の西研さんは「人間はモノサシ」だと言います。      

人間はモノサシである。
ものごとや、他人や、自分に対して、いろんなモノサシをあてている。すき・きらい、ほんとう・うそ、よい・わるい、きれい・きたない、というふうに。【西研 哲学のモノサシ】


 役立つモノサシをもつ人間になりたいものです。

 役立つモノサシをもてば、周りがもっと見えてくる。
 「赤」のモノサシ手に入れた、私がモミジの美しさに、はっと気付いたように。

 役立つモノサシをもてば、周りがステキに見えてくる。
 町の景色が、周りの人が、何気ない日常が、

 そして、目の前の子どもたちが。

でも、そのモノサシが、自分が生きることを
かえって邪魔することもある。
じぶんをじぶんのモノサシで痛めつけたり。
他人のちょっとしたところを裁いたり。
あなたのモノサシは、じぶんと他人を愛するために、役立つモノサシになっているだろうか。【西研 哲学のモノサシ】


 役立つモノサシは、どこにも売ってはいません。
 また、それを生み出すためのマニュアルはありません。
 その上、「絶対正しいモノサシ」もありません。

 ですから、私たち大人は一人一人がモノサシをもつ人間として、じぶんのモノサシを修理、点検し続けなければなりません。
 それが、役立つモノサシを得るための唯一の方法と言えそうです。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 森で見つけたモミジの葉っぱのかわいい手は、
 「あなたのモノサシは大丈夫?」
 と呼び止める手だったのかもしれません。



 附属札幌小学校 平成25年度学校便り9号を再編集し、再発行しました。
 それぞれの人が持つ価値観について書いたものです。喧嘩、友情、いじめ、恋愛、どれも価値観の一致、あるいは相違が何らかの原因となっていると思います。「自分の価値観が絶対ではない」ということを常に念頭において生活したいものです。

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プロフィール

山形昇平

Author:山形昇平
北海道教育大学附属札幌小学校にて11年間教員として勤務、その後北海道コンサドーレ札幌への出向を経て、現在は札幌市内教員です。学級便り・学校便りの発信、育児・子育てへの提案、運動・遊びのアイデア発信をしています。お子さんの成長の一助となれば幸いです。

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